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『オセロー』についてのノート その5
シェイクスピア劇に登場する数々の悪役の中でも、イアーゴーという男はひときわ異彩を放つ存在だ。
「あんなに悪い役だけど、あの俳優ほんとはいい人なんだろうなあ」
と客席で感じたら、それはかなりの悪役なのです。

シェイクスピアが生んだ悪役の代表格といえば、リチャード3世、イアーゴー、『リア王』のエドマンド、『タイタス・アンドロニカス』のアーロン、あたりだろうか。
中でも、リチャード3世とイアーゴーは別格の扱いを受けているように思う

しかし、イアーゴーはリチャード3世のように、コンプレックスをバネに躍進する大悪党というわけでもなく、自分の立場を利用して不正経理のようなことをやっている。精神の粉飾決済だ。
将軍を陥れるだけなんて、スケールが小さい。悪役なら、もっとたくさんぶっ殺して上を目指さなくちゃ!

そもそも、なんでそんなにオセローを憎んでいるのかが分からない。これは『オセロー』を語る上で度々議論になる点だ。

たしかに、イアーゴーは劇中で「やつがおれの寝床にもぐりこみ、亭主のかわりをつとめたという。」(小田島訳)
というようなことは言うものの、これが本当に言うだけ。台詞の内容を裏付ける行動は何も起こらない。妻を寝取られた夫の復讐劇としては、あまりにも説得力がないのだ。

ということは、これは事実ではなく、イアーゴーの被害妄想なのでは?という疑問が湧く。
オセローがイアーゴーの妻を寝取ったなどというのは、いかにも信憑性の低い話だ。

RSC来日公演のパンフレットで、演出のグレゴリー・ドーランは、被害妄想をもう一歩推し進めて「精神障害」とまで断言する。

イアーゴーのせりふには、動物だとかセックスに絡んだ言葉がよく出てきますが、それはいみじくも、彼の頭の中の状況を表していて、そこから推察すると、彼は精神的に障害がある人間だということがわかるんです。イアーゴーは、そこまでいってしまっている人間なんですよ
(2004年RSC『オセロー』来日公演パンフレットより)


イアーゴーはオセローにささやく

お気をつけなさい、将軍、嫉妬というやつに。
こいつは緑色の目をした怪物で、人の心を餌食とし、
それをもてあそぶのです。


『オセロー』という芝居は、嫉妬という怪物が人間を破壊する物語である。
しかし、嫉妬の餌食にされた最初の被害者は、タイトルロールのオセローではなくイアーゴーなのだ。

 
JUGEMテーマ:演劇・舞台

Posted by 松山 立 at 00:34 | - | comments(0) | trackbacks(0)

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